いわさきちひろ展のこと。

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刈谷市美術館で行われている「わたしが選んだいわさきちひろ展」に出かけた。つれあいからこの展覧会に誘われたときは、正直、気乗りしなかった。その絵は女性画家の甘ったるいファンタジーだろうと思いこんでいたからだ。
ところがひとたび館内にはいると、あっという間にその認識は崩れ去った。柔らかな色彩やデッサンの正確さに感心するばかりか、描かれた子どもたちの眼や表情に引き込まれた。MOMAでバカでかい「睡蓮」を見たときもそうとう感動したが、これほどまでに絵の力を感じたのは久しぶりだ。
それどころか展示が進むにつれ、気がつくと涙がこぼれそうになる。子どもに寄りそうまなざし、母親の強さと優しさ。絵を見て泣きそうになったのは初めてだ。先日、身近なところで子どもへの虐待があったと聞き、心を痛めていたばかりだったので、多少感傷的だったのかもしれない。僕は風邪気味だったことをいいことに、ハンカチを鼻に当てるふりをしてささっと涙を拭き、なんとか後半を見て回る。
子どもが生まれてから、子どもにまつわるニュースや出来事に敏感になる大人は少なくない。僕もそのひとりだ。自分の子どもが大切なのはもちろんだが、まわりの子どもたちのことも気になる。みんなが毎日元気に楽しく過ごし、健やかに成長して欲しいと切に願う。そんな思いが、彼女の絵からひしひしと伝わってきたのだと思う。

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