カメラ店長。

仕事柄、友だちから「このデジカメどう?」なんて相談を受けることが多い。以前はお勧めの機種があり、それが僕の周りで局所的に売れ、友だちから「店長」と呼ばれたこともある。でも最近はコレという一台もなく、店長業務は開店休業状態だった。
ところが先日、子ども会のドッジボール大会で知り合いのお母さんに「やっぱり一眼レフって良いですか?」と尋ねられた。久しぶりの店長業務だが、これはなかなか難しい質問だ。
動きが激しいドッジボールの場合、連射性能がほしいけど、Canonのエントリー一眼レフ・EOS Kiss DIGITAL X4が1秒間に撮影できる枚数は3.7枚。小学校低学年ならまだしも高学年になると、いい表情だったり、ボールを投げる瞬間などをとらえるには、それなりのテクニックが必要になるだろう。
一方、以前から連射性能に定評のあるCASIOのコンパクトデジカメEXILIMシリーズは、1秒間に40〜60枚(!)というすさまじい性能を持つ。しかもシャッター半押しの段階からカメラが自動で保存してくれる機能なんてのもあり、決定的瞬間をとらえるアドバンテージは圧倒的だ。もちろん画質はKissの方が上だろうけど、その画質を実感できるのは、A3などまで拡大した場合だろう。よく使われるL版などでは、KissとEXILIMに圧倒的な画質の差が現れるとは思わない。
連射以外で一眼レフのメリットは、レンズ交換により得られる広角から望遠まで画角の変化、あるいは柔らかなボケだろうか。しかし、Canon IXY DIGITALの最新型では広角端が24mmからになり、かなりワイドな絵も撮れるようになってきた。また一眼レフデジカメと同じサイズの映像素子を使うことで、柔らかなボケ、ひいては立体的な絵を撮ることができるSIGMA DP1、DP2も面白い。そしてOLYMPUS PENのようなコンパクトでスマートな一眼レフも発売された。選択肢は無限に広がっている。
話をドッジボール大会のお母さんに戻そう。ひとしきりお話しした後、彼女にどうして一眼レフデジタルなのかと尋ねた。すると「だってカッコいいから」と笑顔。その一言で僕も力が抜けた。いや、悪い意味ではなく、良い意味で。高機能化が著しいデジタルカメラはスペックや理屈だけでは選べないから、シンパシーを感じるカメラを使うのが一番。たくさん撮って、たくさん思い出を残していくのが楽しいと思う。

追記:
写真は、Canon EOS DIGITAL 7D、TS-E 24m F3.5Lで撮影。チルトシフトレンズというちょっと特殊なレンズを使い、ピントの合う前後を強力にぼかしている。しかしこんな雰囲気も最近のコンパクトデジカメやiPhoneでも再現可能。むしろ、操作は簡単だったりするからやりきれない(笑)。