毎日食べたい、愛おしいお菓子。

いいだ菓子店さんのことを知ったのは、尾張旭のオオロラ舎さん。素朴で飾らない焼き菓子だけど、なんともおいしく、毎日モグモグ食べても食べ飽きない。なんだろ? これ? そんなおいしさの秘密を知りたくて、いいださんにお話を伺いました。

「子どものころから作ることが好きでした。学生時代に学んだのは家具作りやインテリア。でも飲食のアルバイトでデザート作りに出会い、以来、お菓子づくりの道へ。都内のカフェやレストランのデザート部門で10年ほど働きました。」
いいださんは娘さんの誕生と同時に自宅に工房を設け、小さなお店を始めます。そのとき彼女が選んだのは、華やかなデザートではなく、スタンダードな焼き菓子でした。
「いろいろなお菓子を見たり食べたりしましたが、気がつくとドーナツやスコーン、鯛焼きなどを選んでしまう自分がいて(笑)、私はやっぱり『おやつ』が好きなんだなって。ケーキやきれいに盛りつけられたデザートも好きだけど、毎日でも食べられる身近なおやつを作りたい。上質でおいしいお菓子を作りたいと思ったんです。」

いいださんの想いがつまったお菓子は、一般的な焼き菓子に比べると賞味期限が少し短め。でもそのぶん、よけいな保存料や香料は未使用。価格とのバランスを考えて選ぶという素材の良さと相まって、かめばかむほどにおいしさが口いっぱいに広がります。
「しっかり火を通す焼き菓子は、基本的に日持ちします。でも私は焼き上がりのフレッシュな香りや食感を味わっていただきたくて、鮮度にこだわっています。粉やバターなどは必要以上に買い置きせず、新しい材料を使うように。そして作り置きはせず、焼き上がったら、間を開けずにお客さまに届けるようにしています。」

いいださんのお菓子はベーシックな焼き菓子が中心ですが、そのラインナップはシンプルなおいしさと重なっているようです。
「お菓子の種類はあまり増やさないようにしています。じっくり試作と味見を繰り返して、これなら自信をもって食べていただけるものだけを提供したいと思っているのです。そしていつかは、『同じようなお菓子はあるけど、やはりここのが一番好き』と言って頂けるようになれたらと思います 。」
そんなちょっと頑固でこだわりのお菓子作りを支えるのは、いっしょに暮らすご家族だと、いいださんは言います。
「私は手際もそんな良くないし、技量だってありません。今、こうして仕事をできているのは、家族のサポートがあってのことです。なにかと率先して手伝ってくれる夫。家事や子どものことを手伝ってくれる義母。そしていたらない私にいつも笑顔を向けてくれる娘。家族みんながいて『いいだ菓子店』になっている。だから、どんなに忙しくても家族や生活や身の回りのものを愛しむ気持ちは忘れずに、これからもお菓子作りをがんばっていきたいと思います」。

家族みんなに支えられて、焼きあげるいいださんのお菓子。それは華やかではないけれど、毎日食べたくなるおいしさ。ありそうで、実はなかなか見つからないデイリーで上質なおやつなのです。

* いいだ菓子店さんのお菓子は、いいださんのウェブサイトから直接購入するか、名古屋近郊では尾張旭市のオオロラ舎さんで購入することができます。ただし、オオロラ舎さんでは売り切れになっているときもあるので、事前に確認されることをおすすめします。

いいだ菓子店
オオロラ舎