男の通過点、タミヤ。

少し古い話になるけれど、毎年悩むのがクリスマスプレゼントだ。子どものリクエストどおりでは芸がないし(しかもゲームもカードも廃りの早いこと!)、お年玉もあげなきゃいけないので、できればリーズナブルにしたい。そんなとき近所のトイザらスで見つけたのがタミヤのワイルドミニ四駆(898円!)だった。
最初、兄弟はピンと来なかったみたいだけど、作り始めるとやはりそこは男子、目の色が変わっていく。でもふたりにとっては初めてのプラモデルなので、なかなかうまくいかない。切り離したパーツはランナー(部品がつながった枠)が残ったり、タイヤの取り付け方向を間違えてしまい、最初からやりなおすことになったり。それでもなんとか1時間ほどで完成。兄弟は早く走らせたくてウズウズしてるけど、その日は部屋で少しだけ走らせて、翌日、いつもの公園へ行くことにした。
朝ごはんを食べて、兄弟と僕が向かったのは滑り台。スペック的には40度まで登坂可能とのことだが、タイヤが滑って登り切れない。そこで公園の奥の森へ。急な傾斜の悪路にはたくさんの落ち葉や小石があるのに、グイグイと登り一番高いところまで行ってしまう。スゲー! そして元旦に岐阜の祖父母宅へ出かけたときにも、長靴といっしょに持参。雪の上を走らせたりした。
ワイルドミニ四駆はシンプルな構造のため、曲がることはできない。同様のオモチャならもっと安いかもしれないが、プラモデルはやはり組み立てる時間が楽しい。部品と説明書を見比べ、どうしたら正確に早く組んでいけるか、頭と手を使って自分なりの方法を考えること。そして手間をかけただけ仕上がりにも反映されるので、自ずとていねいに作業することになる。早く組み立てて遊びたいと逸る心を抑えることは精神面にも良い効果を与える、かもしれない。
またタミヤならではの洗練されたデザインにふれるのも楽しい。ボディデザインやデカール(マーキング)はもちろん、パッケージデザインも秀逸だし、わかりやすく的確な説明書も美しい。ミニ四駆シリーズはマンガとのタイアップもあり、一部、幼稚なシンボルやグラフィックが使われていたりするが、基本的にはタミヤらしいダイナミックで、一目見てタミヤとわかるデザインは男子の心を鷲掴みにする。昔のソニー然り、こういった優れたデザイン(しかもデイリーであって特別でない)に子どものころからふれることは、後に良い影響をもたらす、かもしれない(笑)。
なんて書きつつ、兄弟以上に盛り上がっている僕だけど、ゲームやカードバトルのような実体がなく、大人の意向で流行り廃りする遊び(というか商品)に少々辟易していたから、タミヤを思い出したのは大きな収穫。幸い、ホビーショップではレースなども開催されているし、ブームが去った今は高額なサーキット(コース)などの関連商品もオークションなどで比較的廉価で入手できる。Twitterで旧友が「タミヤは男の通過点」とつぶやいたが、まさにそれ。すでに妻は呆れ気味だけど、タミヤを知らずに大人になんかさせないのだ。