食育より大切なこと。つながること。

スーパーなどで売られている野菜にも、どこどこのだれだれが作りましたというシールが貼られていることが増えた。でも実際にはその人がどんな考えで、どんなふうに野菜を作っているかはわからない。農場のURLが書かれてることもあるけれど、わざわざ見たりはしない。見ても仕方ないしと、諦めているところもあるのだろうか。
一方、西脇さんの野菜を買われているお客さんは、ほとんどが口コミなのだという。おすそ分けしたらおいしかったからと、次のだれかにつながり、その人からまた次の人へ。そんなふうにして、西脇さんのファンはゆっくりと確実に増えている。
伊那の遠足の帰り道、僕たちは西脇さんの野菜をお土産にいただいたのだけど(その様子はpetit collabo *004先のエントリーをどうぞ)、皮も芯ももったいなくて捨てられなかった。ふつうなら捨ててしまう部分までおいしいというのもあるけれど、畑も見させていただいたからだろうか、野菜の向こうに彼の姿が浮かび、わずかでも無駄にはできない、粗末にできないと思った。
もちろん、西脇さんに限らず、だれだって一生懸命に作っているだろう。でもたくさんの食べ物にあふれ、ときに食べ残してしまう僕たちの日常は、作物を作ってくださる人や調理してくださる人など、食に関わるいろんな人へ感謝の気持ちが希薄になっているのかもしれない。食育という言葉が使われるようになって久しいけれど、農家の方をはじめ、そんな人たちのことを具体的に想像できることって大事なのだと改めて思った。そしてもし機会があれば、うちの子どもたちにも、西脇さんの畑や働く姿を見せてあげられたらと思う。
西脇さんはネットを活用されていないが(既に多くの顧客があり、新規の申し込みが難しいという事情もあるようだ)、検索してみるとたくさんの意欲的な生産者や、食の安全に取り組もうとしている団体が見つかる。そんな人たちと対話し、つながることで各々の食卓はより豊かに、安全になるのではないだろうか。
昨年の福島第一原発の事故による放射能汚染やTPPなど、食への危機感が非常に高い今日。目先の価格にとらわれるのではなく、手間を惜しまずに信頼できる生産者や団体を探し、購入できればと思う。それは同時に彼らを応援することにもなるはずだ。安心、安全な野菜や食品は、与えてもらうのではなく、ともに育てていく。そんな意識が求められているのだと思う。