幸せな食卓の行方。

先日、DISCASから2枚のDVDが届いた。「ありあまるごちそう」と「未来の食卓」。子どもたちが待っていた「トランスフォーマー・ダークサイドムーン」は華麗にパスされ、予約リスト第1位を1年以上キープしている「バグダッド・カフェ」も当然スルー。そして食べ物映画2本。リストを組んだ僕も悪いが、少し気を利かせてくれてもいいじゃないか、DISCAS。
食べ物にまつわる映画は以前から観ていた。「スーパーサイズ・ミー」、「ファーストフードネーション」、「いのちの食べかた」(妻のみ。血が苦手なのだ)も観た。いずれも話題になった映画だけど、観終わった後は暗澹たる気持ちになってしまった。そして届いた2本のうち、最初に観た「ありあまるごちそう」も同じ。乾いた絵面とやるせなさ。危機感はひしひしと伝わるけれど、じゃあ、どうしたらいいのだろうと途方に暮れてしまう。だからもう1本の「未来の食卓」を観るのも実は億劫になっていた。
でも、これはいずれの映画とも違った。南フランスの小さな村・バルジャックで学校給食をオーガニックにするという試みと、それに関わる人々を追うドキュメンタリーが、ほかの映画と決定的に異なるのは、健康で穏やかな食生活のために一歩を踏み出しているところだ。大量の農薬を使う農家の悲劇や、オーガニックを推進する人と戸惑う人とのギャップなど、ネガティブな場面も映し出されるが、それよりも印象的なのは、給食で作られる料理(本当においしそうで、おなかが鳴りそうだった!)や、それを食す子どもたちの笑顔、そして村の美しい穏やかな風景。どれも魅力的でキラキラと輝き、うらやましく思えるほどだ。
また映画の中盤には除草剤を使う農地と、30年来のオーガニックの農地を比較するシーンがある。フォークを入れ、土の中の様子を見せてくれるのだが、農夫の説明は先日訪れたにしわきファームとまったく同じだった。土が団子状(団粒構造)になり、空気や水が浸透しやすい豊かな土壌と、固くて水も浸透せず、どんどんやせ細っていく土壌。農地が隣り合っていることもあり、その比較は本当にわかりやすいので、ぜひ観てもらえればと思う。
小さな村の村長の英断ともいえる試みは、ささやかなものかもしれない。でももしかしたら、自分たちにもできるんじゃないかという気にさせてくれる。農薬などの化学物質による食の問題はもとより、放射能という見えない脅威と向きあわざるを得ない僕たちも諦めてしまってはおしまいだ。希望を捨てることなく、身近なところから変えていくこと、みんなで小さな一歩を積み重ねて行くこと。そこから未来の食卓は変えられるんじゃないかと前向きになれるのだ。

未来の食卓 公式サイト

* にしわきファームに関するエントリーはこちらからどうぞ。