コーヒーを抽出する。もしかして彼女は天才なのか?の巻。

どうしたら、おいしいコーヒーを抽出できるの?どんな技が要るの?そんな質問をよくいただきますが、別に作法があるわけでもありませんし、特別な技が要るわけでもありません。でもこれだけは必ず守っていただきたいのは、「あなた自身が、おいしいと感じたコーヒー豆を買って下さい。」という事です。浅煎りのコーヒーを好む人が、深煎りの豆で何杯コーヒーを作ったって、おいしいと感じるわけが無いのです。好みが違うのに「抽出がうまく出来ないな、、、」とか「あの店の豆は、たいした事ないね。」なんて評価をしないでほしいのです。ですから、あなた自身にとっておいしいと感じたコーヒーを提供してくれる店で豆を買って、そこで抽出方法を見るなり聞くなりして、教えてもらって実践するのが一番だと思います。
「同じようにやってるのに、自分で作るとなんかおいしくないんだよな。」という話しもよく聞きます。これは本当に謎なのですが、どういう訳か同じコーヒーでも人に作ってもらった時のほうが、おいしいと感じるようです。自分で作ると、どうしても点数が辛くなるのかもしれません。
抽出方法はこれがベストです!と言いきれないのがつらいところで、僕もコーヒー店を営んでいるので、こうすると良いですよ、という事はお伝えしていますが、知人の御宅にお邪魔して、僕の焙煎した豆でコーヒーをいただく時に、うーんと考えさせられる事があるのです。粉はかなり細かそうだし、湯の温度も高そうだな、、なんて心配しているとコーヒーが運ばれてきました、飲んでみると「え?おいしいぞ」という時があるのです。その方は、いつもその方なりの方法で抽出して下さるのですが、人柄も出たようなおいしいコーヒーなのです。こんな時に飲料としてのコーヒーの不思議を感じます。

さて、ここに四才の娘がおります。彼女は、コーヒー店の娘として生まれてきましたので、父と母がコーヒーを作るのをいつも見ておりましたし、自分が飲みたいと思った時は、ミルクも砂糖も入れず、そういう飲み物なんだ、ということでそのまま飲んでいました。四才半になって「コーヒー、作ってみたいな」と言い出したので、しばらく手を取って一緒に抽出していましたが、当然の流れで「ひとりで作るもん!」と言い出し、危険な所以外は自分でやってもらうことになりました。“蒸らし”もやや適当だったり、お湯が出すぎておっとっと、、、さてお味は、、、。濃度にばらつきはありますが、とてもおいしいのです。“天才かも!?”と思いましたが、そんな訳はないのです。結局、自分の好みのコーヒー豆を、親しい人が抽出してくれたら、とってもおいしい飲み物が出来るのです。もしかしたらコーヒーとは、そういう飲み物なのかもしれません。本当かな?

そうは言っても、どうやって抽出するのがいいの?という話しになりそうなので、近いうちに僕の抽出方法と、いくつかのポイントをご紹介します。お楽しみに。それではバイナラです。

文 / 鈴木 義弘 milou(ミル)店主

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