Archives for the ‘cinema’ Category

幸せな食卓の行方。

先日、DISCASから2枚のDVDが届いた。「ありあまるごちそう」と「未来の食卓」。子どもたちが待っていた「トランスフォーマー・ダークサイドムーン」は華麗にパスされ、予約リスト第1位を1年以上キープしている「バグダッド・カフェ」も当然スルー。そして食べ物映画2本。リストを組んだ僕も悪いが、少し気を利かせてくれてもいいじゃないか、DISCAS。
食べ物にまつわる映画は以前から観ていた。「スーパーサイズ・ミー」、「ファーストフードネーション」、「いのちの食べかた」(妻のみ。血が苦手なのだ)も観た。いずれも話題になった映画だけど、観終わった後は暗澹たる気持ちになってしまった。そして届いた2本のうち、最初に観た「ありあまるごちそう」も同じ。乾いた絵面とやるせなさ。危機感はひしひしと伝わるけれど、じゃあ、どうしたらいいのだろうと途方に暮れてしまう。だからもう1本の「未来の食卓」を観るのも実は億劫になっていた。 More… »

今日が人生最後の日だとしたら。

2011年も残りわずかになりましたが、今年観た映画(DVD)で印象に残っている2本があります。「100歳の少年と12通の手紙」と「恋はデジャブ(原題 Groundhog Day)」です。
「100歳の少年と12通の手紙」は、白血病で余命僅かの男の子オスカーと口の悪いピザ屋の女性ローズの物語。タイトルや設定からお涙頂戴の物語を想像しますが、よい意味で期待を裏切る映画でした。オスカーはローズに勧められ、毎日神様に手紙を書きます。そして1日を10年と考えるように教示され、12日間、病室にいながらさまざまな体験を重ねていきます。1日目にはまだ思春期だったオスカーも2日目には恋に落ち、やがて結婚をし、浮気や別れも経験。ところどころに挿入される美しいシーン、風船に手紙をつなぎ寒空へ飛ばすところや、楽しい雪のクリスマスも印象的で、子どもたちにも観せてあげたい作品です。 More… »

32年前のフレンチトースト / クレイマー、クレイマー


「クレイマー、クレイマー」を観ました。テレビでぼんやりと観たことはありましたが、いつかきちんと観たいなと思っていた作品です。
物語の冒頭、家庭を顧みない仕事人間のテッドは妻ジョアンナに別れを告げられます。説得もむなしくジョアンナは家を出てしまい、テッドと5歳の息子ビリーのふたり暮らしが始まります。最初の朝、フレンチトーストですら上手に焼けないテッドですが、仕事と育児の両立に奮闘。失業やビリーの怪我などのトラブルを乗り越えて、父子の絆は日に日に強くなっていきます。しかし突如、舞い戻ったジョアンナに裁判を起こされ、養育権をめぐり争うことになります。 More… »

親の立ち位置 / カラフル

意図したわけではないのだけれど、前回の「海辺の家」と同じく、10代の男の子が立ち直っていくストーリー。もちろん、それは大枠の話で、その世界の成り立ちは大きく異なっているけれど。
直木賞作家・森絵都さんのベストセラーをアニメーション化した本作は、日常の風景を淡々と描きながら、中学生時代の苦々しさ、息苦しさをこれでもかと見せつける。海辺にどかんと家建てよーぜ的な爽快感はこれっぽっちもない。クラスの中の緊張感と疎外感とか、ずれた感じのする教師とか、受験への焦りとか、初恋の女の子への失望感とか、家族への甘えと傲慢とか。「あーこの窮屈な感じってあったなぁ」と、30年前の10代前半をリアルに思い出させてくれた。 More… »

家は建てられなくても / 海辺の家

ずいぶん前に「男の子の父親なら観ないと」と勧められた「海辺の家」を観た。余命宣告された父親がグレた息子といっしょに家を建て、親子関係を修復する〜という大枠は知っていたけれど、もうどうしようもなく泣けた。歳のせいか涙腺もゆるくなってるのだろうけど、次から次へと涙が溢れてきた。この映画ほどプロジェクターでよかったと思ったことはない。(真っ暗でスクリーンしか見えないからね)。 More… »