いのくまさんの人生をトレースするように。

刈谷市美術館で開催中の猪熊弦一郎展に家族と出かけた。今回の企画展は、絵本『いのくまさん』になぞらえられた展示になっていて、美術館初心者や、子どもたちにも親しみやすい内容になっている。
ひとりの芸術家の企画展を観る楽しみは、たくさんの作品を一度に鑑賞できるだけではない。荒削りな初期から、経歴を重ることで変遷し、深みを増していく作品。芸術家に寄り添うように順路を進むのはいつもワクワクする。今回の猪熊弦一郎展もしかり。パリ、ニューヨーク、ハワイ。マティスやピカソ、マーク・ロスコ。そのときどきの場所で、あるいは芸術家の影響を受け、猪熊さんの作品がダイナミックに変化していく様子は、彼といっしょにその人生を旅するようで感慨深い。 More… »