あくびのでる運動会。

子どもの通っている小学校では毎年この時期に運動会が行われる。秋は修学旅行や学芸会などの行事が多いためだそうだ。最初は違和感があったけどれも、すっかり慣れてしまった。逆に一向に慣れないのはプログラムだ。たとえば、1学年が白・赤・青の3チームに別れて走る「全員リレー」。昔、リレーは運動会の華だった。土を蹴り駆ける様子に目を見張ったり、バトンの落下にどよめいたり。手に汗握る展開に引きこまれて、最後のランナーがゴールしたときにはみんな拍手して健闘を称える、そんな感じだったと思う。
ところが全員リレーに感動することはあまりない。全員参加だから足の速い子・遅い子が入り交じり緊張感に欠ける(足の遅い子を速い子が抜いても面白くないじゃないか)。そして30人もの人数で走るものだからゴールまでが長い長い。出走順は足の速い子→遅い子→もっと速い子となっているそうだが、早い段階で差が開いてしまいなんとも間延びした展開になる。頑張って走っている子どもたちには申し訳ないのだけど、あくびだって出てしまう。
昔の話を出すのはナンセンスなのかもしれないが、足の速い子はかけっこやリレー、力がある子は綱引きというように、競技そのものが細分化されていなかっただろうか? うちの小学校ではリレーなどの走る種目、棒引きなどの団体種目、そしてダンスなどの3種しか行われていない。
おそらく行事や授業などとの兼ね合いで練習時間がとれないのだろうが、いっしょに汗を流すだけではやはり物足りない。子ども一人ひとりの得意なことをアピールできればいいのにと思う。「オマエ、勉強はできないけど足はメチャクチャ速いなー」とか、お互いの得意なこと・不得意なことを実感し、子ども同士が認め合うことだってできるはずだ。
かけっこに順位をつけない学校もあるらしいが(さすがにうちの学校もそこまではしていない)、押し付けの平等は悪だ。子どもの個性を埋没させ、子ども自身が自分の長所を見つける機会を奪う。そしてひいては将来の目標とか希望とか、子どもたちのうちなる芽を摘んでしまうことにならないか。運動が唯一長所な子どもを持つ親としてはそんな気がしてならない。