夏の終わりに考える節電。

名古屋は先週までの湿った南風が乾いた北風に変わり、急に涼しくなった。計画停電や大規模停電が心配された東日本大震災後の夏を、なんとかやり過ごせそうだと胸をなで下ろす人も少なくないかもしれない。
でも一息つくにはまだ早いような気がする。今年の冬や来年の夏はどうなるのだろう? 言われるままに与えられるままに、簡単さと便利さを享受し、エネルギーや資源を消費し続けてきた僕たちは、暮らし方を改めることが必要なのではないだろうか?
「正しい電気のトリセツ集」は電気の使い方について、たくさんのヒントを与えてくれる。照明、エアコン、テレビ・パソコンなど、多くの電気を消費する家電製品の具体的な節電から、トイレの温水便座などの過剰な快適さを省く節電、そして毎日の暮らしで無理なく節電できるアイデアまで枚挙にいとまがない。
そして「ハンカチを持つというだけの節電」というコラムでは、外出先でのトイレでハンドドライヤーを使わないアクションが紹介されている。ペーパータオルと比較して紙資源を使わず、ランニングコストも安いことでエコと謳われ、設置台数が増えたハンドドライヤーに異を唱え、「みんながハンカチを持てば、そもそも不要なのでは?」と指摘。過剰に便利で快適な僕たちの生活を改めようと訴える。湯水のように電気を浪費するのではなく、本当に必要な電気・そうでない電気を取捨選択することで、この国に必要な電気の量は、きっともっとコンパクトにできるはずと。

ただ漫然と電気を使い続けるままで、「それだけの電力を賄うには原子力発電が絶対に必要だ」なんてことを言われたくないから。

エピローグに書かれた著者の言葉に共感する人は少なくないだろう。でも「だれかがやってくれる」ではなにも始まらないし、解決しない。一人ひとりができることからやっていく。その積み重ねこそ、大事だと切に思う。蛍光ランプの取替え、温水便座の使用停止、ほうきでの掃除、ハンカチ持参など、既に実行していることもあるけれど、僕たちももう一度家の中を見渡して、できることがないか確認したいと思う。

正しい電気のトリセツ集(六耀社)