コーヒーの話 第2回 目で見るコーヒー焙煎。

milou(ミル)の鈴木です。コーヒーは焙煎度によって、色も味も変化します。少しでもそれを分かっていただきたくて、今回はコロンビア・サントゥアリオ農園のコーヒー豆を焙煎してみます。「目で見るコーヒー焙煎」です。
僕の使用している焙煎機は4kg(まで焙煎できるが、実際は3,5kgまでが良い)直火型のもので、鮮度を考えて、いつも1.3kgから1.5kgを焙煎します。今回は1.5kgで行いました。さて、どうなりますか。

時間
(分)
温度
(度)
豆の様子、いろいろな変化など
0 170 薄緑 生豆です。コーヒーらしい色も香りもありません。1.5kgの豆を焙煎機に投入します。
1 132 薄緑 変化ありません。
2 128 薄緑 少し緑が濃くなった気がします。機内の温度が下がるのはここまでです。
3 133 薄緑 少し白っぽくなり、水分が減少し始めます。
4 137 薄緑 表面の薄皮がはがれ始め、甘いような(?)香りがしてきます。
5 140 黄土 木の実の焼けるような香りがして、「いよいよ焙煎に入るぞ」という気分になります。
6 148 黄土 緑色が消え、茶色になり始めます。
7 155 薄茶 淡い茶色になりました。
8 162 薄茶 一段階、茶色が増しました。
9 169 薄茶 さらに一段階、茶色が増しました。
10 174 10分30秒に「ポン!」「パシ!」という音で1回目のハゼ(1ハゼ)が始まります。芳ばしい香りがしてきます。
11 179 1ハゼの途中、色も香りもどんどん増えていきます。
12 185 濃茶 1ハゼが終わり、香りに酸を感じます。
13 190 濃茶 13分20秒ごろ、「ピチピチ」「パチパチ」という2回目のハゼ(2ハゼ)が始まります。
14 198 焦茶 煙が出はじめて、こちらも「さぁ、そろそろだな」という気になります。刻々と変化するので、注意します。
15 206 焦茶 2ハゼも終わり、表面に油がにじんできます。煙も多く、「いい感じだな」と思い嬉しくなります。
16 焦茶 色、香りを確認しながら、「ここだ!」と感じたときに釜から出します。この日は15分48秒で焙煎終了。速やかに冷却します。生豆の水分が飛んで1kgになりました。

僕の「おいしい」と感じるコーヒーはごく限られた範囲(10〜15秒)にあって、その手前だと酸味が残りますし、その後だと重くなり甘みをうまく引き出せないので、とても気を使います。一般的には10分ごろは味見用で飲用には向きません。11分から14分ぐらいがよく飲まれていて、11、12分が浅煎り、13分が中煎り、14分が深煎りと言われています。浅煎りは香り、酸味が強く、苦味が弱く、深煎りは酸味が弱くなる代わりに苦味が強くなります。
それでは、15分後半の僕の豆はどうかというと、たいてい「アイスコーヒー向き」とか、「苦味が強い」とか、「ミルクなどと合う」という評価で終わってしまうことが多いです。それでも僕は、酸味はほとんどないものの、ここまで焙煎しないと味わえない甘みに強く惹かれてしまうのです。
分かっていただけないかもしれないですが、ちょうど、ジャズのテナーサックス奏者のレスター・ヤングが調子よく演奏してくれたときみたいに、どうしようもなく、心と体に染みるのです。文章ではうまく説明できないけれど、自分にははっきりわかっていることです。「そんなのプロ失格じゃないか」と言われてしまうかもしれませんが、僕は僕らしいコーヒーを焙煎したいのです。書いていた僕自身がオーバーローストしてしまいました。あなたにとってのおいしいコーヒーはどのあたりでしょう? それでは、また。

文 / 鈴木 義弘
自家焙煎珈琲と手作りおやつの店 milou(ミル)
名古屋市千種区楠元町2-35 1F